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保守主義の哲学---ハイエクに学ぶ自由主義概論Ⅳ(最終章) [政治]

 →〔=ブログ作成者〕の解説:(Ⅲからの続き)

 12)自然発生的な自生的自由秩序について。

 ハイエク曰く、

 「社会制度を、それが意図的に設計されたものではないという理由から[自然的]であると述べるものがいた一方で、同じ制度を、それが人間行為の結果であるという理由から[人為的]であると述べる者もいた。

 それでも古代の思想家のなかに、社会制度を生みだした進化の過程に、かなり近づいた人がいた・・・古代時代のローマの法学者たちは少なくとも、ローマの法秩序が以下の理由によって他国のものよりも優れていることを十分に意識していた。

 その理由とは、カトーが述べたと言われるように、ローマの法秩序は、

 [一人ではなく、多数の人びとの天稟に基礎を置いており、また、一世代ではなく、いくつもの世紀や多数の世代という長い期間に基礎をおいていたからである。

 というのも、カトーによれば、彼の目を逃れるものごとがまったくないほどに卓越した天賦の才に恵まれた人間など決して存在したことなどないし、ある時代に生きているあらゆる人間の力を結集したとしても、将来への対策をすべて行うというようなことは、現実の経験による助けや、時間による検証なしには、おそらく不可能だからである。]」(『ハイエク全集Ⅱ-7「思想史論集」』、春秋社、5556頁)

 13) 果たして「自己愛」は本当に、悪徳あるいは憎むべき不正義だろうか?

 ミルトン・フリードマン曰く、

 「経済分野における市場という狭い問題にだけとらわれてしまったため、あの[自己愛の原則]も、直接的な物的報酬だけにしか関心を持たない近視眼的利己心を意味するに違いないと、極めて狭くしかこれを解釈しないようになってきてしまっていた。

 こうして経済学は、金銭的な刺激に対してだけしか反応しない、計算機に少し毛が生えたような存在でしかないあの[経済人]という、まったく非現実的な人間像を基本的な概念として、壮大な結論を引き出しているに違いないと、多くの人びとに誤解され、非難されてきた。

 このような理解の仕方は、たいへんな誤りだ。

 [自己愛(=各人がそれぞれなりに自分自身の利益を追求すること)]とは、近視眼的な利己心のことでは決してない。

 [自己愛]とは、人びとが関心をもつ事柄なら何であれ、また人びとが尊重するものならなんであれ、さらに人びとが達成したいと欲する目的ならなんであれ、それらをすべて含んでいる(→当然「お金儲け」だけを除外することはできまい)。

 自分の学問分野の最前線を前進させたいと努力している科学者。

 不信心者を本当の信仰へと改宗させたいと努力している伝道者。

 生活に苦しんでいる人びとに、安楽をもたらしたいと努力している博愛主義者。

 これらの人びとは、例外なしに、自分たちが考える形での自分にとっての最大の関心、自分自身の価値観に従って自分なりに下した判断を満足させたり追求したりしているに過ぎない。

 すなわち、これらのすべては、それぞれなりの[自己愛]の発露にしかすぎない。」(MRフリードマン『選択の自由』、日経済新聞社、44頁)

 →〔=ブログ作成者〕の意見

 自由主義者に限らず、すべての人間は「自己愛」なしに生きることはできない。

 「お金儲け(拝金主義)」自体も「自己愛」の一形態にすぎない。

 重要なことは、自由主義社会では、如何なる形態の「自己愛」の追求であっても、「法の遵守」と「結果に対する責任義務」を果たさねばならないということである。

 ゆえに「金儲け(詐欺・契約違反など)」であれ「学的研究(事実の歪曲・捏造による国民騙し・煽動)」であれ「博愛主義(国民への強制による分配的正義)の追求」であれ、これらはすべて真正の自由主義においては「不正義」にすぎない、ということである。

 14) 学者と学問

 ハイエク曰く、

 「社会研究においては、ある専門分野への極端な専門化はとりわけ破壊的な結果をもたらす。

 そのような専門化によってわれわれは、単に魅力的な話し相手とか良き市民になれなくなるというだけでなく、専門の領域において、または、少なくとも遂行しなければならない重要な課題のいくつかにかんして、適正を欠くようになるのだ。

 物理学者でしかない物理学者は、それでも第一級の物理学者、そしてもっとも価値ある社会の一員である。

 しかし経済学者でしかない経済学者は、偉大な経済学者ではありえない。

 これに加えて私はむしろ、経済学者でしかない経済学者は、積極的な危険となるか、そうでなくとも迷惑になる、と言いたい気がする」(『ハイエク全集Ⅱ-4「哲学論集」』、春秋社、312頁)

 15)16) まとめ。

 →〔=ブログ作成者〕のまとめ

 自然発生的な自生的秩序の維持に不可欠な、伝統や慣習に基づく法を遵守して行為する限りにおいて、人びとは自らの知識、技術をもちいて自らの目的(自己愛)を追求しているようにしか感じられない場合でも、目には見えないが、確かに存在する、古き祖先から世襲されてきた“法”の秩序維持機能によって、我々は同時に他者のためにも行動することが可能になるのである。

 逆に他者が他者自身の自己愛追求のためだけに行うように見える行為も、他者が法を遵守する限り、法は我々自身の利益も増すように働くである。

 なぜなら、伝統や慣習などの法とは過去のすべての日本国民の歴史経験における叡智の集積だからである。

 つまり、このような自由の法による自生的自由秩序が、経済における市場原理」や「見えざる神の手」の本義であるから「市場原理」、「資本主義」は決してルールなき弱肉強食の「市場原理主義」などではないし、法の支配の確立した真正の自由主義とは、日本国民が求めることのできる最も確かな安全域であり、また真に弱き人々を保護する最強の砦なのである。

  (現在位置:ハイエクに学ぶ自由主義概論Ⅳ)

 →保守主義の哲学---ハイエク自由主義概論

 →保守主義の哲学---ハイエクに学ぶ自由主義概論Ⅱ

 →保守主義の哲学---ハイエクに学ぶ自由主義概論Ⅲ

【平成231230神戸発】

エドマンド・バークを信奉する保守主義者


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ストライクイーグル

一週間遅まきながら新年明けまして御目出う御座います。
今年も大変な一年になると思いますが、民主党政権が崩壊して自民党が与党に復帰出来る様に、極左/民族派/反日マスコミに「スーパー天罰」の鉄槌が下る様に祈りましょう。

所で管理人様は神戸市の在住ですが、同じ神戸市在住で保守主義のブロガーが居られます。アメーバのブログで、
「大日本帝国憲法入門」をやっております。又、
「sangreal333」のハンドルネームでツィッターもしております。
何れも中川八洋先生を基本に保守主義を研鑚されております。
是非御越しを。

序でに前のコメントで「旧宮家の皇籍御復帰に反対」と指摘した「hirasindao」が「うまやど」様に論破されています。「うまやど」様のツィッター「umayado17」を御覧下さい。

其れでは祖国と皇統の未来の為に頑張って参りましょう。



by ストライクイーグル (2012-01-08 19:31) 

マロン・ナポレオン

 唐突なのですが、amazonなどのブックレビューなどに見るとおり、昨年の中川氏のご著書『小林よしのり「新天皇論」の禍毒』への誤解が多いのを見かねて、「中川氏への批判の的外れ」との題で、レビューを投稿しました。
 その中で、失礼ながら、昨年のBURKE REVIVAL IN JAPAN さんの昨年の谷田川氏批判にも批判的に言及させて頂きました。
 中川氏の著書をより有効ならしめるため、すなわち皇室護持に微力ながら貢献するためであり、どうか御海容の上、御高覧下さいますよう。お願いいたします。
by マロン・ナポレオン (2012-01-10 00:12) 

うまやど

>序でに前のコメントで「旧宮家の皇籍御復帰に反対」と指摘した
>「hirasindao」が「うまやど」様に論破されています。

「旧宮家のご意向がーー」という保守?の方とそれじゃ皇統断絶ですよと・・・ #女性宮家
http://togetter.com/li/239849

にまとめておきました。
by うまやど (2012-01-11 10:05) 

ストライクイーグル

うまやど様
有難う御座います。「hirasindao」については民主党の「増税路線」を殆ど批判しない「脳天気」振りからして其の「新保守主義」とやらのスタンスは「?」で、其れ所か「実は民主党支持」の疑いすら有ります。もう一つ、「isohan0521」も御注意の程を。

マロン・ナポレオン様
西部邁とトークイベントをする予定の谷田川の「本籍」を詮索しようとは思いませんか。其れと昨年ですが、「Liberty」誌の某記事を「中川氏が書いた」とするコメントを「SHINSEIHOSHU」様のブログに書いた其の理由は何ですか。

by ストライクイーグル (2012-01-11 12:03) 

うまやど

ストライクイーグル様

>「isohan0521」も御注意の程を。

これは幸福実現党の活動家ですね・・・。煮ても焼いても食えません orz...
監視のみしておきたいと思います。
by うまやど (2012-01-11 13:01) 

うまやど

マロン・ナポレオン様

>amazonなどのブックレビューなどに見るとおり、昨年の中川氏のご著書『小林よしのり「新天皇論」の禍毒』への誤解

誤解というより、「破壊工作」と見るべきでしょうね。
肯定的なコメントには、「役に立たなかった」が集中します。
私のアカウントも、それで打撃を受けました。
レビュアーランキングを上げるのをやめたので、放置してありますが、
ランキングを気にする人は、コメントを消して被害を最小限に止めようと
します。

結果として、ネガティブなコメントばかりが残る、というメカニズムです
by うまやど (2012-01-11 13:04) 

うまやど

オノコロブログの読者より


「国家の品格」をざっと読み直してみました。
そうしましたら…

最終章にこっそりと「天皇の万世一系を男女平等などという理屈で捨てようとする軽挙は、イギリス人には想像も出来ない」と映像と同じく主張されておりました。

一方で、ハイエクやフリードマンと言った自由主義経済を批判する文面もあり、この辺りはオノコロさんとは意見が食い違いそうかなぁとは思いました(笑)。

ご報告まで…
by うまやど (2012-01-11 18:03) 

マロン・ナポレオン

うまやど様

そのやうな構造もあるのですね・・・。
このご本についてのアマゾンのブックレビューは、いくつか話にならぬ悪口もあり、それは「破壊工作」といへませう。が、批判記事の多くは、中川氏をよく知らぬ、「民族派」が書いたものと考へました。すなはち、皇室を大切なものとは思ひつつも、中川氏の「民族派」批判の真意・作戦を理解せずに、筋違ひな批判をしてゐると推定した次第です。
コメントありがたうございました。


ストライクイーグル様

1. 谷田川氏は、中川氏の緒著作を読んでいらつしやるし、それを明らかにしてもゐる点で、ふつうの「民族派」とは差がありますが、私も、西部氏とのトークショーを行ふことは訝しく思ひました。判断材料が少ないので断定はできませんが、今のところ、保守主義を志向してはゐるものの、無知ゆゑに、全てにおいては正確な判断はお出来にならぬのではないかと思つてゐます。

2. コメントを字義どほりに読んで、なぜ書き込みをしたか、との問にお答へすれば、私同様、中川氏のご論考を待望してゐらつしやる方にお報せする機会としたかつたからです。しかし、管理人様はもうご存じだつたやうで、大変失礼を致しました・・・。
なぜ中川氏の文章と判断したか、との意図の問としてお答へすれば、内容・文体ともに中川氏のものと考へてもをかしくなく、「嶋田陽一」といふ国際政治学者を少しく調べても、同一人物とおぼしき学者は見出せなかつたため、ペン・ネイムでの寄稿ではないかと考へました。さうとすれば、お名前をお伏せになつた理由も察せられます。
 もしや中川氏の文章ではないのでせうか・・・。
 なほ、私はこの文章がなければ『Liberty』を見ることも御座いませんし、大統領制を目指す幸福の科学を信頼してはをりません。

 コメントありがたうございました。

 長くなり、失礼いたします。
by マロン・ナポレオン (2012-01-11 23:18) 

ストライクイーグル

マロン・ナポレオン様
有難う御座いました。「嶋田陽一」が中川先生なのかどうかはさて置き、「幸福の科学」と其の政治部門の「幸福実現党」は、日共/創価・公明/中核/革マルと同じく警戒・用心すると良いでしょう。連中の本音は「天皇制廃止」でしょうし、連中が出版した「霊言集」とやらには、其れこそ畏れ多くも先帝陛下と明治陛下を「腹話術の人形」にした、戦前であれば先ず間違い無く「不敬罪」の「スーパートンデモ」本も有ります。又、連中は、先のコメントでも挙げた「isohan0521」を見れば解る様に「ロシアとの同盟」を主張しています。連中がロシアSVRの支配下に置かれている可能性があるかもしれません。又、連中は2昔程前(平成3年辺り)には「加藤紘一を総理に!」と主張したいました。以上、念の為に挙げて置きます。
by ストライクイーグル (2012-01-12 21:40) 

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